新建ハウジング 2026/5/30 発行Vol.1068 掲載 『工務店が地域で選ばれ続けるためのバリアフリー住宅 vol.4』
2026.06.02.Tue
全国の地場工務店を応援する住宅業界情報誌『新建ハウジング』にて、社長・阿部一雄の連載「工務店が地域で選ばれ続けるためのバリアフリー住宅」が掲載されています。
本連載では、事故をきっかけに車いす生活となった一級建築士であり、地域工務店経営者でもある阿部一雄が、自らの当事者としての経験、設計者としての専門性、そして経営者としての視点を重ね合わせながら、「本当に暮らしやすいバリアフリー住宅」とは何かを掘り下げます。
第四回は、“安全で楽に”を最優先、ADLとQOLを同時に高める設計ポイント「玄関」「トイレ」「洗面所・浴室」についてです。
生活実態から逆算する“本物のバリアフリー設計”
阿部が住まい手に繰り返し伝えているメッセージ。
それが、「多少お金がかかってたとしても、『安全で楽に』を最優先してほしい」ーーー
予算が限られている場合でも、その範囲内で「最も安全で楽な方法」を考えて提案すること、それが建築士の役割であると考えています。
建築基準法や公共のバリアフリーの基準は最低限の仕様であり、住宅にそのまま適用しても個々の生活には適合しません。
住宅は本来、住む人ごとにカスタマイズされるべきものであり、画一的な基準ではなく「その人のADL(日常生活動作)と家族構成」に合わせた最適解が大切だと阿部は考えます。
設計において特に重要なチェックポイントとして挙げられているのが、「玄関」「トイレ」「洗面所・浴室」の3点です。
玄関は「社会への扉」であり、外出行動を左右する重要な要素であり、段差解消や緩やかなスロープ、引き戸・電子鍵の採用によって“外に出やすい環境”をつくることが生活の質に直結します。
トイレは利用頻度が高く、介助も想定されるため、同線・介助スペース・寝室との距離関係まで含めた配置設計が重要となります。
洗面所・浴室では、ヒートショック対策が最重要であり、断熱性能の強化や浴室暖房、段差のない浴室構成が必須となります。
動線・設備・環境を統合する“予防的バリアフリー”
バリアフリー住宅の本質は、単なる安全対策ではなく「将来の変化を前提とした可変的な住まいづくり」にあります。
特に、近年は“予防的バリアフリー”という考え方が重要視されており、健康なうちから将来の身体変化に備える設計が重要視されています。
また、住宅全体の設計では「回遊動線」が中核となり、廊下・LDK・水回り・寝室の行き止まりのない構成にすることで、車椅子でも移動しやすい環境を実現できます。
さらに、生活動線・家事動線・介護動線を分離することで、家族と介護サービスの双方にとってストレスの少ない住環境を構築できます。
ヘルパー専用動線やキーレス玄関の導入もその一例です。
設備選定においては「費用対効果」が重要な判断基準となります。
局所的な高価設備よりも、動線改善や断熱・機密性能向上など、生活全体の質を底上げする投資が優先されるべきであると考えます。
加えて、全館空調や床暖房による温度のバリアの解消、太陽光発電・蓄電池の導入による災害対応力の向上などが求められています。
最終的にバリアフリー住宅とは、特別な住宅仕様ではなく「人生の変化に適応し続ける住まい」のことです。
日常生活動作の安全性と生活の質(ADL・QOL)を同時に高める設計こそが、本質なバリアフリーのであると阿部一雄は考えます。
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