新建ハウジング 2026/3/30 発行Vol.1063 掲載  『工務店が地域で選ばれ続けるためのバリアフリー住宅 vol.2』

2026.04.21.Tue

  • メディア情報

 

先月より、全国の地場工務店を応援する住宅業界情報誌『新建ハウジング』にて、社長の連載「工務店が地域で選ばれ続けるためのバリアフリー住宅」が掲載されています。

本連載では、事故をきっかけに車いす生活となった一級建築士であり、地域工務店経営者でもある阿部一雄が、自らの当事者としての経験、設計者としての専門性、そして経営者としての視点を重ね合わせながら、「本当に暮らしやすいバリアフリー住宅」とは何かを掘り下げます。

 

第二回は、「心のバリアをフリーにする」こと。工務店・設計者が向き合うべき”本物のバリアフリー住宅”の前提条件についてです。

 

バリアフリー住宅が抱える“前提のズレ”


少子高齢化が進む中、バリアフリー住宅は特別なものではなく、誰にとっても身近な住まいの課題となってきています。

しかし現実には、その対応は「段差解消」や「手すり設置」といった表面的な対策にとどまり、本質的な暮らしやすさには十分に踏み込めていません。

その背景には、「バリアフリー=専門的で特別なもの」というつくり手側の固定観念があるためです。

さらに設計の現場では、医療や介護の考え方(安全性・効率性の優先)が無意識に持ち込まれがちですが、住宅はあくまで“生活の場”であり、それだけでは満足度やその人らしい暮らしにはつながりません。

この「医療的合理性」と「生活の質」とのズレをどう捉えるかが、本物のバリアフリー住宅を考える出発点となるのです。

 

本質は“心のバリアフリー”に


バリアフリー住宅の計画が難しくなる大きな要因は、身体的な問題ではなく「心のバリア」にあります。

当事者は、「迷惑をかけたくない」「負担をかけたくない」といった引け目や自己否定感から、本音を押し隠してしまい、

一方で家族も、本人を気遣うあまり自分の不安や負担を言い出せず、過度な遠慮が生まれます。

その結果、双方の間に見えない不満が蓄積され、これが住まいづくりにおいても「形だけのバリアフリー」を生み出し、家族関係にひずみをもたらす原因となるのです。

つまり、「心のバリア」とは潜在的な不満そのものであり、これを解消しない限り、本当の意味でのバリアフリーは成立しません。

だからこそ、バリアフリー住宅は設備や仕様の問題ではなく、「心のバリアフリー」を前提に考えるべきものです。

この視点こそが、これからの設計者に求められる基礎的かつ本質的な価値となっていくと社長は考えます。

 

 

▶︎vol.1の連載はこちらです。

ぜひご覧ください。