東日本大震災 その3  SAREX総会in東京

2011.06.03

  • 阿部建設の仕事

毎月参加している工務店のための勉強会組織SAREX先回参加の様子はこちら。

今回5月19日~20日にかけて、総会とWS(ワークショップ)が開催されたので参加してきました。

総会の基調講演では震災で話題となっている、住宅の地盤、構造について、構造設計士の方をお招きし、詳しく地盤や構造についてお聞きすることができました。

名古屋地区も7割近くが地盤改良を必要とする地域となっているため、その対応は勿論、万が一そのような事態が発生した場合などについても解説を頂きました。

構造についても、従来阿部建設が行っている許容応力度計算(耐震性能2以上)だけで倒壊の恐れは低いことが分かりましたが、制震ダンパーなどは地盤の状況に影響が少ないことから、有効であることが確かめられました→制震ダンパーに関する制震住宅関係のダイアリーはこちら
今回は木造住宅に有利で、鉄筋コンクリートや鉄骨造には不利な周期の地震でしたので、多くの鉄筋コンクリートや鉄骨造がその影響を受けました。
耐震設計で有名な東北大学の建築学科が入っている校舎も、一部壊れました。

当然耐震補強がされていましたが、それを上回る地震波(周期)であったとの解説でした。
こちらは別の大学の校舎。

星型に作られていた影響で、一層部分が完全に破壊しています。

津波は市営住宅の4階部分に達しており、町は完全に破壊されています。

耐震補強の方法を誤っていたと思われる、ある市町村の庁舎。

しっかりと耐震補強を施したとしても、完全には被害を防ぎきれないケースとして参考になります。
東京都内のある高層マンション。

都内でも震度5強でしたので、それなりに影響があるか調査が行われたそうです。
また、震災の影響に伴う不動産価値の考え方についても「AERA」で評論をされている山下努さんに解説を頂きました。
震災や水害などの自然災害のことを考えると、不動産を所有するのか、賃貸住宅、あるいは定期借地とするかなど、考えられる可能性について解説と議論がなされました→定期借地関連のタイアリーはこちら。

以上の件は結果から申し上げますと、壊れにくく、自立してエネルギーを確保できる仕組みを有した不動産を所有すれば、不動産を所有した方が有利と私は理解しました。

もしこの地方で震災などに見舞われた場合、数百万人の被災者に対し、自衛隊を総動員しても10万人程度であり、自立して天災に立ち向かうほかありません。
2日目は建築士会の建築コンクールでもお世話になった、建築家 伊礼智さんの取り組みについて話を伺いました。

伊礼さんの取り組みは、地域の工務店と協力し、地道に良い住宅を造くる仕組み作りに取り組まれている、建築家としては異例な方です。

阿部建設も近く伊礼さんと協力して仕事をする予定です。
東日本大震災以降、私たちは多くのことを考えさせられるきっかけを頂きました。
地域の安全、安心を担う工務店としてこれからも努力を続け、一歩先の住宅や施設を提供できる工務店として仕事をしていきたいと考えています→阿部建設のコンセプトはこちら。

震災で被害にあわれた方々の早い復興を心よお祈りしております。