変化を見据えた
バリアフリー住宅

山田様邸

段階的な対応で、歳月を重ねても
ずっと心地よい暮らしを。

手足に進行性の神経疾患を持ちつつリハビリテーションの仕事に携わる山田さん。
同じ職業の奥様と一緒に、2階建ての「ちょうどよい」バリアフリー住宅をつくりました。
体の状態に合った機能性と、木ならではの香りと肌ざわりを楽しめる心地よさが特徴です。

木にこだわった、
段階的バリアフリーの住まい。

いつか建てたかった、
岐阜の木材を生かした木の家。

「祖父が岐阜県で林業に携わっていたこともあり、子どものころから木に愛着がありました。いつかは岐阜の木材を使って木の家を建てたいと思っていたのです」と山田さん。 ご結婚後、家づくりをしようと住宅メーカーなどに問い合わせましたが、ピンとくるところがなかったといいます。
「どこも違和感がありました。たとえば、木の床を“ぬくもりがある”といわれるものの、私は手足に進行性の神経疾患(シャルコー・マリー・トゥース病=Charcot-Marie-Tooth病)を持つため、実際に歩いてみると痛くて足が冷えたんですね。説明にあった“ぬくもり”と実際の“ぬくい”は違います。そこがうまく噛み合いませんでした」。
いろいろ調べるうち、山田さんが興味を持ったのが、太陽熱や空気など自然の力を利用する空気集熱式ソーラーシステム「OMソーラー」です。冬は家全体が温かく、夏は涼しい空気を取り入れます。そして、OMソーラーを導入している阿部建設と出合いました。
「阿部社長と会ったとき、初めて話が“伝わった”と感じました。疾病や障害の当事者同士だからこそ、共感し理解してもらえたことが嬉しかったし大きな安心でした。祖父にゆかりのある飛騨の木を使っていることも魅力です。ここならぬくもりがあってぬくい家をつくれるのではないか、これは運命的な流れだと思い、家づくりを決めました」。

完全バリアフリーではなく、
「ちょうどよいバリア」

リハビリテーションを行う作業療法士であるご主人。最初に目指した住まい像は「超バリアフリー」です。
「どうしたら理想の家ができるだろうと思い描いたのが“完全バリアフリー住宅”。バリアはすべてなくす、だからこの先もずっと快適、というイメージでした。これを聞いた阿部社長がいったのです、『そんな完璧な家でいいの?そこまでバリアフリーにして体は大丈夫?』と。全部のバリアをなくすことはベストな選択肢ではないとアドバイスされたのです。私の身体状態で今は上がれる段差も、なくしてしまうことでいずれは上がれなくなるかもしれない。今ある機能を日常的に使っていなければ、病気の進行が早まって、近い将来に衰えたり失うことになるかもしれないと指摘されました。目からウロコでしたね。自分の疾病や仕事柄から、完全バリアフリー住宅にしなければならないと先入観や義務感をいつの間にか抱えていたのです。さらに、進行性の疾患がもたらす将来への不安で、家族や生活の変化を前向きにとらえて楽しもうとする、ゆとりがなくなっていました」。
バリアを完全になくすのではなく、“残す”ことは、人にとっても住まいにとっても重要な意味があります。そしてそれは、状況に合わせて変えることも考えておくことが大切です。
「家は一回建てたら終わりなのではなく、家族、生活、体の変化に合わせてつくり変えていけばいい。だから今の家族の状態に合わせた“バリアを残した家”を建てればいいんだ、と阿部社長に気づかせてもらいました」。
これを機に、山田さんご夫妻が意識してきたことは「バリアちょい残し」だそう。
「山田家では“バリちょい”と呼んでいます(笑)。バリアをちょっと残すことで、体にちょうどよいバリア、家族にちょうどよい楽しさの家、にしたいと思っています」。


変化に備えつつ、
個性をはぐくむ家族空間。

体調の変化やご家族の成長に
対応できるように。

あらゆる生活シーンに必要な
バリアフリー設計。

ご家族4人が暮らす住まいは2階建てで、1階にリビングとダイニングキッチン、2階に寝室をレイアウト。山田さんは毎日階段を上り下りしています。
もし将来、車いす生活になった場合にも対応できる工夫を随所に施しているのが特徴です。日常生活に欠かせないトイレは、車いすでも出入りしやすいように扉を2カ所設けました。必要に応じて介助ができるスペースも取っています。また、廊下を広げ、ホームエレベーターを設置できるような設計にもなっています。住まいを体の状態に合わせて変えていく「段階的バリアフリー」仕様です。

一方、玄関の外は当初、階段のみを設け、将来必要になればリフトを加えるプランでしたが、階段にスロープを付けました。
「スロープは敷地条件上、傾斜がきつくなると聞きましたが、あえて希望しました。車いすで自力で上るのはできなくても介助者が押すことで上れるし、ベビーカーを使うには便利だからです。趣味のキャンプの際、道具を台車に乗せて運びやすいのもポイントでした。自分だけでなく、家族に使い勝手のよいことも大切だと思います」。
さらに、ご家族の成長によるライフサイクルやライフスタイルの変化にも対応できる造りになっています。今は圧迫感がないよう腰壁のみで一部屋になっている子ども部屋は、2人のお子様がそれぞれの部屋を持つことも考慮して間仕切りや窓を配置しています。

10年後も木が香り、
ご家族がリラックスできる空間。

実は、山田さんの住まいが完成したのは約10年前。床にはヒノキ、天井のダイナミックな梁には杉が使われた家は、今も木のよい香りがほんのりと漂います。訪れたお客様にも「この香り、好きだなあ」「別荘に遊びに来たみたい」と好評です。
印象をより高めているインテリアは、ご夫婦が選んだお気に入りの飛騨の家具。デザイン性と機能性に富んだチェストや椅子が配され、キャンプ好きの一家だけあり、ダイニングテーブルの上には灯油ランプが吊るされています。どれも木の家と調和し、居心地のよい空気を醸し出しています。
そんな快適さに包まれるリビングは、自然とご家族が集まる場所。お子様たちは本や漫画を読んだり、宿題をしたり、時には梁に張られた登山用ナイロンロープにぶら下がって遊ぶことも。

実「子どもたちが思春期を迎えたら、自分一人の時間や居場所も必要なので、家にフレキシブルさは大切。そうしたハード面に加え、心の面でも家族の変化や成長を楽しめるといいと思います。たとえば、職人の手仕事による陶器や漆器をみんなで選び、その個性や手ざわりなどを楽しむことで、子どもたちに感受性を伸ばしていってほしいですね。ここで、心の豊かさや個性をはぐくみながらエネルギーをチャージしたら、飛び立っていく。そんな巣箱のような家でありたいです」。
また、山田さん自身は住まいの完成から10年以上経った今、少し体に変化も感じているといいます。
「病気の進行もあり、以前より階段や段差に弱くなってきたかもしれません。しかし、ホームエレベーターをいつでも設置できますし、あらかじめ手を打っている安心感があります。状況に合わせ、今後もちょうどよい暮らしを楽しんでいきたいです」。
希望を叶えた温かな木の家で、心身ともに健やかなご家族の暮らしがこれからも紡がれていきます。

トイレは2面に引き戸を設置。すべて開ければ、廊下のスペースが広がり、車いすでの通行がしやすくなります。

将来、車いす生活になった場合を考えて、出入りしやすいバリアフリーのトイレに。介助が必要な場合にも備えています

山田様のご希望で設けたスロープ。敷地条件上、角度がやや急になりますが、ご家族にとっても利点があるため設置を決めました。

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